温湿度計が1つ壊れたので Amazon で温湿度計を探していたら、興味深い温湿度計を発見しました。
それがこの、「黒球式温湿度計」です。
黒球が付いているために輻射熱を計測することができ、より実際の体感温度に近い、「暑さ指数(WBGT)」*を表示できるというものです。
* 暑さ指数(WBGT)の詳細は環境省のこちらのページに詳しいです。
住宅内の体感温度について関心のある私としては、これは面白いと一瞬思ったのですが、やっぱり私にとっては意味ないな、と考え直しました。
というのも、高断熱住宅の住宅内では人体周囲の表面温度が室温とほぼ同じなので、室温に注意しさえすれば、輻射熱を取り立てて気にする必要はないからです。
住宅内側の輻射熱(太陽光を除く)は壁や床などの表面温度に依存し、その表面温度は内外温度差や冷暖房、断熱性能などの条件によって左右されます。そのため、住宅の設計上でまず注意を払うべきは後者であり、表面温度や輻射熱は1地点・1時点での結果に過ぎず、住宅性能を直接示す指標にはならないということです。
実際、黒球式温湿度計の商品説明をみると、屋内でも使用できるものの、ほぼ屋外での使用を想定しています。黒球で測れる輻射熱とは「日射や地面からの照り返しによる熱」と説明されていて、太陽光関係の輻射熱のことのみを指しています。
裏返せば、
- 室内で輻射熱を考慮して温湿度を測定する意義は薄い
- 室内での輻射熱(常温放射)はエネルギー量的に無視できるレベルで、体感温度への影響は小さい
- 室内は通常の温湿度の測定で事足りる
ということでしょう。
なお、この黒球式温湿度計は、住宅内を重視する私にとってはあまり使い道がありませんが、日差しのある屋外で熱中症のリスクを検討する場合には、非常に有用です。
熱中症対策が求められる時期に、学校や保育園、クラブなどの活動を中止すべきかどうかの判断基準として、積極的に活用されるようになればいいなと思います。
関連
・冷輻射は高断熱住宅で気にする必要はない?
・「夏涼しく冬暖かい家」の科学(物理現象編)
・「夏涼しく冬暖かい家」の科学(体感温度編)
ちなみに、結局私が買い換えた温湿度計は、こちら(↓)です。シンプルなデザインで時間がわかりやすい点が気に入っており、湿度表示はおまけみたいなものなので。
読者の方は、絶対湿度が測れる湿度計ではないのかと疑問に思われるかもしれませんが、絶対湿度計は一つあれば満足です。必要なら計算できますし。
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