よくある第三種換気システムの問題点

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ローコストなためによく採用されている、パイプファンと自然給気口を用いる第三種換気システムの問題について考えます。第三種換気システムとは、排気にのみ換気扇を使用する方式のことで、給気用の換気扇がないため、初期費用、ランニングコストがともに抑えられ、多くの住宅で標準仕様となっています。第三種換気システムにもいろいろありますが、よくあるのは、次のようなダクトを使用しないシステムです。

画像:「三井ホームの計画換気システム」より引用

このシステムでは、室内の汚れた空気は、階段ホール、風呂、トイレなどの換気扇から排出します。外に向けて換気扇を回すと住宅内の空気の圧力がマイナスになり、各部屋の給気口から新鮮な空気を取り込むことができる、という仕組みです。給気口には外気清浄フィルターを付けることもあります。家中に隙間のない住宅なら、この仕組みは機能するでしょう。しかし、そこら中に隙間のある家ではどうなるでしょうか。空気はわざわざ換気扇から離れた遠くの部屋の給気口を通って入ってきてくれるでしょうか。そんなわけはなく、空気は換気扇に近い給気口や家の隙間のみから入るようになります。以下のグラフに示すように、一般的に高気密住宅と言われる C 値 2.0 であっても、給気口から入る空気の量は 1/3 しかありません。

気密性能と自然吸気口からの吸気量

画像:Panasonicの24時間換気システムの説明より

空気の流れは局所的になり、常に換気されない空間が発生してしまいます。給気口に外気清浄フィルターを付ければさらに抵抗が増すため、給気口を通る空気はさらに減るでしょうし、フィルターを掃除しなければもっと減ることでしょう。これでは計画的で効率的な換気とは到底言えず、換気が不十分なためにさまざまな問題が生じてしまいます。上のグラフからわかるように、この換気システムが機能するためには、かなり高い気密性能が要求されます。ドイツならともかく、日本でこの気密性能が可能な住宅はかなり限定されます。

なお、一部のハウスメーカーでは、同じ第3種換気システムでも、ダクト式セントラル換気という方式を採用しています。

画像:スウェーデンハウスの寒冷地向け換気システムより

この方式では、各部屋の自然給気口と排気用の吸い込み口の間の距離が縮まるため、ダクトなしの場合よりも効率的に換気できることが想像できます。この必要レベルを C 値 1.5 未満とすると、最近の木造住宅であれば対応可能な住宅も結構あります。他に第一種換気システムもありますが、管理の手間やコストが問題になります。各ハウスメーカーは住宅の気密性能を高め、性能に見合った換気システムを採用してほしいものです。

参考 第一種換気と第三種換気

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