やっすい木材水分計を買って遊んでみた | さとるパパの住宅論

やっすい木材水分計を買って遊んでみた

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木造住宅を構成する木材は乾燥していることが望ましいとされています。乾燥しているほうが強度が出るし、建てた後に乾燥すると縮むことで不具合が出るからです。また、水分が多い状態が続くと木材腐朽菌が繁殖してしまい、構造強度が劣化してしまいます。

とはいえ、ある程度乾燥させた建材を使用するのは当然のことだし、建てた後に乾燥状態を保つ仕組みさえあれば大きな問題はないだろうと、これまでは特に気にしていませんでした。

いまでもそこまで気にしていないのですが、ふと Amazon で調べてみると木材水分計が意外と安く購入できることを知り、興味本位で購入してみました。レビューを見ると、キャンプの薪のチェックに使う人が多いようです。

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そもそも安い木材水分計は使えるのか

きちんとした木材水分計は非破壊の高周波式やマイクロ波式のものが多いのですが、気軽に買える値段ではありません。安価なものは電気抵抗式で、2 本の針を刺して測定します。とある林業技術センターの資料によると、この方式は含水率 30% まで正確に測定できるそうです(参考PDF)。

穴を開けることになるのであまり使われなくなったようですが、小さな穴など気にしない私にはピッタリです。

本当は日本のメーカー品のほうが安心ですが、価格が全然違うので、今回は Amazon’s Choice に選ばれていた以下の製品を購入してみました。R&D INSTRUMENTS というアリババグループのブランドのようです。

不親切なことに日本語の説明書がありませんでしたが、単純なので商品説明ページの記載で事足ります。念のため類似品の説明書も確認しましたが、測定物に合わせてモードを選択し、2 本の針を 5mm 以上刺すだけです。

ただ、このモード選択が曲者で、A~D のどのグループにどの樹種が該当するのかの判断が付きません。

A: チーク、ウォルナット、コルクなど
B: ブナ、ポプラ、ヒマラヤスギなど
C: オーク、サクラ、カエデなど
D: カラマツ、マツ(pine)、ケヤキなど

SPF 材(Spruce, Pine, Fir)は D になるのでしょうが、スギやヒノキ(マツ目ヒノキ科)は D のような気も、C のような気もします(他社製品ではスギ、ヒノキ、カエデが同じ分類)。

そういえば、わが家に使用されている木材の樹種についても、針葉樹ということまでしか知りません。大雑把に、針葉樹は C と D の間とし、±数% の誤差があると思うことにします。

いろいろ測定してみた

まあいいや、と試しに身の回りで測定できるものをいろいろ測ってみました。

庭の木材の含水率

庭の雨の当たらないところに置いてあった SPF 材を D モードで測定すると、15~16% でした。

外に放置して乾燥させた木材は「気乾材」と呼ばれ、この水分は樹種によらずほぼ一定(ただし地域や季節による)で、約 15% だそうです。これが同じということは、この水分計の数値はそれなりに信頼できそうです。

ツーバイフォー工法を参考につくった物置もほぼ 15% でした。耐久性に問題はなさそうです。

土の上に放置して耐久性実験中の構造用合板は、22% でした。

続いて生木のシラカシとコナラ(共にブナ科コナラ属)をオークとして C モードで測定してみると、ともに 93% と、目を疑うような測定値になりました。潤いすぎ!と思ったのですが、調べてみると木材の含水率とは「乾燥重量に対する水分の比率」を指すそうです。全重量に対する水分の比率ではなく、土木分野で使われる土や砂の「含水比」と同じ感じです。生木の含水率は 100% を超えることもあるようなので、それなら 93% という数値も納得です。

室内の木材の含水率

今度は室内にあった SPF 材(タイプ D)を測定してみると、13% でした。ちなみに、他のモードでは、A: 8%、B: 9%、C: 11% となりました。

室内のヒノキのすのこ(タイプ C か D)も測定したところ、C: 11%、D: 13% でした。

常に空調を入れているだけあって、外に置いてある木材よりは乾燥しています。

次に、2F 天井の点検口から天井裏の SPF 材を測定したところ、D で 16% でした。この空間は屋根断熱の下ですが空調対象外の空間であり、結露などが発生していなければそんなところでしょう。在来工法で気流止めの問題が気になる方は、冬の終わり頃(?)に屋根裏の木材をチェックしてみると問題が起きているかどうかを簡易チェックできるかもしれません。

参考 木造住宅の耐久性を決める主要因は何か?

最後に測定したのは、床下の土台です。絶対湿度で考えると地温の低い床下空間は夏場に高湿になるので、私としては一番気になっていたところです。

測定したのは 8 月末で、ちょうど絶対湿度の高い時期です。床下コンクリートの表面温度は 25.4℃ だったので、外気の重量絶対湿度が 20.6 g/kg(DA) 以上なら結露が発生する計算になります(気温32℃、湿度 70% とか)。軽い結露が発生し、木材が吸収するという現象が起こっているかもしれません。

三井ホームの土台の木材は、防腐・防蟻処理として薬剤が加圧注入されています(点線が入っている赤みがかった木材)。材種がはっきりしませんが、タイプ c か D だろうと測定してみると、19~25% という測定値が得られました。

防腐剤に伝導性物質が含まれていたら電気抵抗式水分計では測定できないかもしれないと思いましたが、酸化銅なら伝導性はないし、あまり関係ないでしょう。また、室内と床下の段ボールの含水率を Paper モードで測定して比べてみても、それぞれ 13% と 20% と大きな差があったので、木材の含水率も 20% 程度はありそうです。

木材腐朽菌の繁殖条件は木材含水率 20% 以上(特に腐朽が進行するのは 30% 以上)なので、含水率がピークと思われる時期とはいえ、安心はできないレベルです。床下の外気に触れる木材の防腐処理は、やはり重要だなと思いました。

安心したいので、できれば(覚えていれば)乾燥している冬にもまた測定してみたいと思います。

追記:冬の測定結果

2021年2月の乾燥している時期はどうかと、まずは天井裏を再度測定してみました。
夏は 16% だったのが、たった 9% しかありません。
もう少しあるかと思っていましたが、室温と湿度が夏(27℃、60%)、冬(22℃、40%)とすると絶対湿度はそれぞれ 15.5 g/m3、7.8 g/m3 となるので、妥当なところなのかもしれません。

その後床下を測ろうとしたら、0%を表示しており、明らかにおかしい数値です。その後いろいろ測定しても 0% となり、、、故障でしょう。

Amazonレビューではすぐに壊れたというレビューは見当たりませんでしたが、やっぱり安物は安物ということなのでしょうか。
壊れる前の測定値はそれなりに信頼できそうだっただけに、残念です。

なお、ツーバイフォー工法かつ屋根断熱のわが家で壁内木材が乾燥していることは当然予想していたことです。
私が本当に知りたいのは、気流止めに問題がある軸組工法・天井断熱の住宅で、冬季に屋根裏などにどれだけ水分が移動しているかという問題です。

参考 Q値C値に現れない高断熱住宅の要「気流止め」の問題

築年代、石油ストーブの使用状況、剛床工法か否か、外壁通気層工法か否かなどで差が出ると思いますが、もし調べられる方がいらっしゃれば結果を教えていただけると幸いです。

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