自宅の近くで木造平屋構造の新築工事(商業施設)があり、概要図面をもらっていたので、最近の木造新築工事はどんな感じなのかを観察する機会がありました。
何年も住宅ブログを続けたり、電気工事士の勉強をしたりしているので、工事で何が行われているのかは、自宅を建てた時よりはよくわかります。
屋根にはガルバリウム鋼板縦ハゼ葺が採用されていて、スレートが主役だった時代からの変化を感じます。
耐力壁は筋交いではなく、構造用合板を張って確保しています。
いろいろと工事を見ていて一番驚いたのは、基礎の構造でした。
基礎の立ち上がりが外周部にしかなく、後で追加で打つのかと思っていたらその様子もありません。気づいたら、地面の高さの基礎コンクリートの上に、土台の木材(防腐処理済み)がそのまま並べられています。
そこでようやく気付きました。床下空間がないということに。
長期優良住宅で床下空間の有効高さが330mm以上と定められたりしているためか、大手ハウスメーカーを含むほとんどの住宅には床下空間があります。床下があることは当然だと思い込んでいましたが、非住宅では床下がないこともあるのですね。
床下空間がないのであれば床下に通気する必要もないため、基礎外周部の上には通気性のない気密パッキンが並べられていました(基礎断熱工法と同様)。床下断熱工法は基礎断熱工法より低コストだと思っていましたが、床下すらない工法の基礎であれば、さらに低コストにできるのかもしれません。
床下空間がなくても大丈夫なんだろうかと改めて考えてみると、床下がコンクリートの場合、床下空間は絶対に必要というものではありません。調べてみると、事務所などでは床下がないことも少なくないし、住宅であっても、床下空間のない「逆ベタ基礎工法」という方法もあるようです。
冬は足から底冷えしそうですが、靴で生活したり、暖房用の配管を埋め込んだりする場合には、問題ないかもしれません。
この方法で一つ気になったのは、浸水被害です。基礎外周部の立ち上がりも出入口の部分は欠けているため、大雨などで 5cm くらい水がたまれば、すぐに室内まで浸水被害を受け、土台や壁などが濡れてしまいます。その土地は地理的に浸水しにくいので問題ないとは思いますが、土地によっては問題かもしれません(いったん浸水してしまった場合に一般的な床下よりも水を抜きやすいのはメリット)。
これを見て、わが家も床下なしにすればよかったとまでは思いません。剛床の効果だとか、断熱や配管、収納のことを考えると、日本の住宅ではほとんどの場合、床下空間があるほうが適しているとは思います。それでも、用途に応じていろいろな正解があるということに気づけたことは、私にとって収穫でした。
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