【比較シミュレーション】高断熱ほど部屋間の温度差が小さい理由 | さとるパパの住宅論

【比較シミュレーション】高断熱ほど部屋間の温度差が小さい理由

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断熱性能の高い住宅ほど部屋間の温度差が小さくなると言われていますが、実際どのくらい小さくなるのでしょうか。わが家のある一部屋をモデルとして単純な熱量の計算を行い、実際の温度差と比較したうえで、窓タイプによって温度差がどう変わるのかをシミュレーションして比較してみたいと思います。

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熱量を計算するモデル

モデルは、わが家のトイレです。トイレを選んだのは、全館空調のわが家では、空調が入っていない部屋がトイレと風呂場しかないからです。空調がないため、実測値と比較検討することができます。この部屋(トイレ)をモデルとし、熱の移動が外気に接する壁と窓、室内ドアでのみ発生すると仮定して、熱の移動が平衡状態となる部屋の温度を計算してみたいと思います。床下や天井、隣接する部屋との間の熱移動は考慮しないという、ずいぶん大雑把な仮定ですが、両隣・上の部屋との温度差は実際あまりありません。また、ドアの下にはすき間がありますが、空気の流れまでは考えないことにします。

ちなみに、わが家はツーバイシックス工法であり、壁には 140mm 厚のロックウールの断熱材が使用されています。窓は樹脂サッシのペアガラスで、大きさは約 37cm × 73cm です。

計算結果

計算など面倒くさいという方がほとんどでしょうから、計算過程は最後にして結論から述べると、室温が 25 度、外気温が 0 度のとき、この部屋の温度は約 22 度となります。室内側の他の部屋との温度差は、3 度です。

驚いたことに、実際、冬にわが家で測定したトイレの温度差も、3 度です。適当な計算ではありますが、あながち大きく外れているわけでもないでしょう。

それでは、窓がアルミサッシの単板ガラスの場合や、トリプルガラスの場合はどうなるのでしょうか。

窓による室温の違い

窓がアルミサッシの単板ガラス(熱貫流率:U=6.0)だとして計算すると、熱の移動が平衡状態となる室温は、18 度となりました。室内側の他の部屋との温度差は、7 度もあります。

トリプルガラス(U=0.8)として計算すると、22.4 度となり、ペアガラスの場合(21.7度)とそれほど変わらない結果となりました。

以上のような結果となりましたが、どちらにしても、壁に占める窓の割合が大きい場合は、もっと大きな差が出ることになります。

高断熱住宅の温度差

このように、高断熱住宅では、エアコンを使用しなくても、室内の温度が一定に近づき、部屋間の温度差が小さくなります。シミュレーションでは空気の流れを無視しましたが、実際には室内ドアを閉めていても、ドア下部のアンダーカットから空気の出入りがあります。ドアが開いていたり開放的な間取りになっていれば、より多くの空気が流れるため、より温度差は小さくなります。

一般に、Q 値 1.9 以下で部屋間の温度差が小さく快適になり、Q 値 1 前後では家中の温度差がほとんどなくなります。

単板ガラスとは快適さに大きな違い

上記のシミュレーションでは、ペアガラスで温度差 3 度、シングルガラスで温度差 7 度という結果になりましたが、その快適さには大きな違いがあります。シングルガラスの場合、部屋の温度が 18 度というのは平均値であり、実際は部屋の上下左右で温度差が発生します。シングルガラスの場合は特に、窓やサッシ表面の温度が低く、そこで冷やされた空気は下へ降りて流れます(下図参照)。

この冷気は窓の近くでは特に強く感じられます。これによって足が冷え、健康にも悪影響を及ぼします。シングルガラスではまた、結露の問題もあります。

高断熱だと快適になり、健康に良いと言われる意味がよくわかるかと思います。

最後に、シミュレーションの計算の詳細を示します。

計算の詳細

壁、窓、室内ドアの熱貫流率と面積は、以下のデータを使用しました。室内ドアの熱貫流率はよくわからなかったため、ドアの厚さを測定し、一般的な木材の熱伝導率を元に算出しました。

熱貫流率に面積をかけると、温度差1度あたりの熱の移動量(W/K)が計算できます(熱貫流量としました)。これによると、わが家のトイレでは壁と窓の熱損失が同程度のようです。

室内に出入りする熱量(W)は、(温度差) x (熱貫流量) となります。室温を T とすると、室内奥の部屋から流入する熱量は 5.6 x (25 – T)、外に逃げる熱損失量は (0.43 + 0.41) x (T – 0) となります。平衡状態のときは両方が等しくなるため、この方程式を解くと、T=22となります。いろいろと条件を変えて計算すると、面白い結果が得られるかもしれません。

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