関東以西の温暖地における理想の Q 値、UA 値は

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断熱性能を表す Q 値や UA 値は小さいほど良いといいますが、小さくするほどコストがかかります。北海道などの寒冷地では Q 値 1.0 以下の高断熱住宅に大きなメリットがあると思いますが、関東以西の温暖地でそこまで必要かは悩みどころです。結局のところ、コストとメリットのバランスがとれるラインはどの程度なのでしょうか。各 Q 値レベルの暖房費と生活感については「断熱性能はどこまで求めるべきか(Q値とUA値)」で紹介しているので、未読の方はそちらをまずご覧ください。

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理想は Q 値 1.4 (UA 値 0.40)

私が思う温暖地における理想は、Q 値 1.4 (UA 値 0.40)あたりだと思います。当サイトで Q 値 1.6 以下を推奨としているのは、トータルコストが最も安くなる断熱レベルだからです。しかし、1.6 レベルでは全館冷暖房を行うと冷暖房費がそれなりにかかります。実際に Q 値 1.6 くらいの家に住んでいるので、わが家の電気代を見ればわかります。

日射熱を利用すれば暖房費は抑えられるかもしれませんが、日射熱が得られる昼間と暖房負荷の大きい夜間には時間差があるため、熱容量の小さい木造住宅では日射熱をフル活用することは困難です。

全館暖房をやめて部分間欠運転にすれば暖房費は下げられますが、全部屋の温度差が小さいことは見逃せない大きなメリットなので、これはやめたくありません。全館暖房を実現しつつ暖房費を抑えるとなると、Q 値 1.4 くらいは目指したい、となるわけです。

また、Q 値 1.6 以上では、温度差を小さくするためにさまざまな工夫をこらす必要があります。Q 値 1.4 以下であればそれほど気を遣わなくても温度差が小さくなるので、その点でも魅力的です。

初期コストが多くかかっても Q 値 1.4 が理想的なのではないか、と思うのはそんなわけです。

新住協のQ1.0住宅

高断熱住宅で定評のある新住協では、「Q1.0(キューワン)住宅」というものを提唱しています。Q1.0 住宅とは、必ずしも Q 値 = 1.0 以下の住宅を指しているわけではありません。必要な暖房エネルギーが次世代省エネ基準の住宅の半分以下になる住宅を目指した結果、北海道などの寒冷地では Q 値 1.0 程度という結論が得られただけなのです。この基準を関東以西の温暖地に当てはめると、Q 値は 1.4 以下で良いことになります。

Q=1.4 はスウェーデンハウスレベル

Q 値 1.4 というのは、実はスウェーデンハウスの平均的な Q 値に相当します。つまり、外断熱なしの枠組壁工法でトリプルガラスを採用すると実現できるレベルということです。オリコンのハウスメーカー注文住宅満足度ランキングで 1 位に評価されているように、その住み心地には定評があります。ちなみに、Q 値 1.4 はまた、カナダの省エネ住宅の基準であった R-2000 住宅のレベルでもあります。

1.0 以下の Q 値ならもっと良いか?

もちろん、Q 値 1.0 以下ならなお良いのですが、これを実現するとなると、熱交換型第一種換気システムや外断熱などが必要になり、追加のコストが馬鹿になりません。しかし、Q 値 1.4 であれば、木造なら工法を問わず、外断熱を施さなくても、トリプルガラスや発泡プラスチック系断熱材を使用することで実現することができます。また、Q 値 1.4 程度にグレードアップすると、エアコンの数をかなり減らせるため、設備費用を抑えることも期待できます。

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