私はエアコン冷房の風が嫌いです。暑いときに不自然な冷たい空気が身体に当たると、体調を崩してしまいます。
けれども、暑すぎるのも苦手です。そんなとき、雑誌や新聞などで冷風扇の広告を見かけると、やはり気になります。
冷風扇って何?という方もいらっしゃるかもしれませんので紹介しておくと、こんな感じのものです。
このような冷風扇は、以下のようなメリットが強調されます。
・打ち水と同じ原理なので自然な涼風が心地よい
・冷えすぎないのでクーラー病にならない
・エアコンと比べて圧倒的に省エネ
初めて知ったときは、「エアコンに代わる救世主がついに現れたか!」と期待したこともあります。
小学生くらいだったと思いますが。
当時は買う金もなく、いいなと思っていただけですが、その後、熱力学の法則を学んだり、いつまで経っても普及しないことに気づくと、「それほどいいものではないのかな」という気がしていました。
ここで改めて、冷風扇にはどのような問題があるのかを考えてみました。
冷風扇がお勧めできない理由
冷風扇がお勧めできないと思うのは、以下のような問題があるからです。
打ち水効果は室内では得られない
打ち水をすると、水が蒸発する際に気化熱を奪うため、温度が低下します。
加湿器の記事で定量的に検討したように、これは事実です。
しかし、灼熱のアスファルトの地面にならともかく、部屋の中に打ち水をする人はいません。
何が違うのかというと、外であればすぐに乾いて空気が入れ替わりますが、風通しの悪い室内では湿気が逃げないため、湿度が上がってしまいます。
問題は、この湿度です。
湿度が上がると不快指数が上がる
夏の蒸し暑さを表す指標として、不快指数があります(Wikipedia)。
これを見ると、気温が少し下がったとしても、同時に湿度が上がる場合、不快指数は変わらないか、むしろ悪化することがわかります。
冷風扇は、原理としては気化式加湿器と同じです。室内で使用すれば、加湿し続けます。
日本の夏はただでさえ蒸し暑いのに、加湿し続ければ快適にならないことは容易に想像できます。
参考 東京・大阪・沖縄・ハワイの夏を不快指数で比べてみた結果
夏に行うべきなのは、加湿ではなく除湿でしょう。
メンテナンスも大変
気化式加湿器であれば私も冬に使っていますが、これはメンテナンスが大変です。使えば使うほどカルキが蓄積するし、微生物も繁殖します。温度の高い夏に使うのであれば、冬以上の汚染対策が求められることでしょう。
氷や保冷剤を入れて冷風扇を使う人もいるようですが、それならば単に扇風機の前に設置したほうがラクな気がします。
そういうわけで、冷風扇について改めて考えてみると、屋外で使うのでもない限り、冷風扇に魅力は感じません。
エアコン嫌いにお勧めなのはエアコン?
それでは蒸し暑い時期にエアコン嫌いの人はどうすればいいのかというと、やはり快適に室温を下げる方法は、ヒートポンプ式のエアコンしかありません。とはいえ、ただエアコンを使うのではクーラー病になってしまうので、使い方に注意が必要です。
要は、冷たい風が身体に当たると体調を崩すという場合、強い冷風が身体に当たらないようにすれば良いわけです。
そのためには、風向に注意することに加えて、以下のような工夫も重要です。
冷房を早めに入れる
冷房が強い強風を出すときというのは、そうしないと温度が下がらないからです。
強い冷風が必要なのは、室内の温度が設定温度より高すぎるとき。
いったん温度が下がってしまえば、温度を保つためには室内の取得熱(発生熱)に相当する熱を排出するだけでよいので、エアコンの冷房負荷は小さくなります。
このため、耐えられないほど暑くなってから冷房を入れるのではなく、早めに冷房を入れたり、連続運転したりするほうが、冷房の悪影響は受けにくくなります。私の場合、常に空調をオンにする生活になってからは、自宅で冷房病に悩まされたことはありません。
日射熱を入れない
エアコンの負担を軽くするためには、室内に侵入する熱や室内で発生する熱を極力減らすことも大切です。
屋根や天井面の断熱が弱い場合(断熱材が 10cm以下など)には断熱強化や遮熱化も効果がありそうですが、一番対処しやすいのは、窓からの日射遮蔽です。
方法はいろいろありますが、できればカーテンではなく窓の外で遮蔽し、西面を重点的に対策するのが効果的なのでお勧めです。
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