加湿器のサイズ(加湿量)はどのくらいが適切か?

加湿器を選ぶとき、悩むのがサイズです。これまで使っている加湿器がある場合はそれを目安に選ぶことができますが、初めての環境ではよくわかりません。買ってから、「加湿力が足りない!」と気づくことも起こりがちです。かといって大は小を兼ねる物でもなく、大きいサイズは価格帯が一気に上がるし、消費電力も気になります。

加湿器の商品説明には木造住宅●畳、プレハブ●畳との記載がありますが、一口に木造住宅といっても住宅の条件は様々です。エアコンの畳数が当てにならないのと同様、加湿器の畳数も無条件に信頼できるものかわかりません。

そこで、このような畳数表記がどのように決まっているのか、どのような場合に加減できるのかを調べてみました。

また、参考までに、実際の湿度と目標の湿度から必要加湿能力を計算するツールも作成してみました。

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加湿器の畳数はこうして決まる

調べると、加湿器の畳数の目安は、一般社団法人 日本電機工業会規格「JEM1426」によって定められていました。

室温 20℃、相対湿度 30% の条件で 1 時間あたりに加湿できる水分量(定格加湿能力、単位:mL/h)に基づき、次のように決められています。


出典:一般社団法人 日本電機工業会 Web サイトより

これを見ると、「戸建木造住宅の和室」と「戸建プレハブ住宅の洋室」の2分類で大きな差があることがわかりますが、ここで疑問が沸きます。

  • 多くの戸建住宅は木造の洋室だが、どっちを見ればよいのか?
  • 同じ木造でも、築20年以上と最近の高気密住宅では条件が違うのでは?
  • マンションはどっちを参考にするべき?

これらの疑問には、加湿器の大手メーカーであるダイニチ工業の必要加湿量計算フォームのページが参考になります。

必要加湿量計算フォーム | 加湿器 | 製品情報 | ダイニチ工業株式会社
お部屋をうるおすために必要な加湿量を計算することができます。お部屋の床面積、天井高や住宅構造によって、適度な湿度にするために必要な加湿量が異なります。部屋にピッタリの加湿器選びの参考にご利用ください。

このページにはすべての数値は書かれていないものの、細かい条件や計算式が書かれており、木造住宅の洋室という条件で計算することもできます。RC造のマンションや高気密住宅はプレハブ住宅と見なせばよいこともわかります。

加湿器の畳数を左右する条件

必要加湿量を求める式は、ダイニチの式を見ると難しく感じるかもしれませんが、文字で書き換えるとこんな感じでしょう。

(必要加湿量)=(部屋の容積)×(室内外の絶対湿度の差)×(換気回数)+(壁面などの吸湿量)

つまり、必要な加湿量はこれらの要因によって増減するということです。
各項は次のとおりです。

部屋の容積:(床面積)x(天井高)で計算できます。天井高は 2.4m の想定です。

室内外の絶対湿度の差:暖房後の室内が 20℃ 60% という条件なので、容積絶対湿度は 10.4 g/㎥ です。外気は東京の1月の平均値ということで、おそらく 5 g/㎥ くらいなので、その室内外の絶対湿度差は約 5 g/㎥ 超ということになりそうです。

参考 東京の絶対湿度の年間推移

換気回数:木造 1 回/h、プレハブ 0.75 回/h という想定です。ご存じのように(?)、住宅の換気回数は 0.5 回/h 以上という基準があり、その他にも局所換気があることを考えれば、この換気回数は、まあ妥当なところでしょう。とはいえ、この回数は住宅によって差があり、換気方式と気密性能によって、0.5~1.5 回/h くらいと幅がありそうです。この項は、そのまま掛け算するために、必要加湿量の結果に大きく影響します。なので、自宅のおおよその換気回数がわかる場合は、適宜調整したほうがよいかもしれません。

参考 低気密・中気密は何がどう問題なのか

壁面などの吸湿量:室内の壁面、床、天井への吸湿量とのことです。検算してみると、なんとなく、結構多めに見積もっているような感触でした。

必要加湿量は細かく考えると複雑で、混乱してしまいそうです。

上記計算の問題点?

私見ですが、日本電機工業会やダイニチの必要加湿量は、やや多めに算出されると感じます(高価格な大きい加湿器を売るためではないと思いたい)。

一番気になるのは、吸湿量は考慮しているのに、放湿量をゼロと見なしていることです。

住宅で生活していると、呼吸(生物用語)やら炊事洗濯やら風呂やらで結構な量の放湿が発生します。その量は、『最高の断熱・エコハウスをつくる方法 令和の大改訂版』p.224 によると、4 人家族で 1 日当たり 9.4 L にも達するとのことです。1 時間当たりで平均すると約 0.4 L の加湿量になり、無視できません。

また、吸湿に関しても、一日のうち数時間しか加湿しないのであれば吸湿は発生するでしょうが、乾燥時には放湿も発生しているはずです。ビニルクロスで覆われたフローリングの住宅で 24 時間加湿する場合などは特に、吸湿はプラマイゼロと考えてもよい気もします。

もう一つの必要加湿量計算方法(ツール)

上記の計算も目安にはなりますが、バラツキの大きいパラメータが多そうなのが気になります。
そこで、これを参考に、私なりに必要加湿能力の計算式(次式)を考案し、フォームを作成してみました。

(必要加湿量)=(部屋の容積)×[(目標絶対湿度)-(ベースの絶対湿度)]×(換気回数)

加湿器を使わないときの部屋の温湿度と、加湿器で達成したい湿度、そして換気回数と空間の大きさから必要加湿量を計算する方法です。外気の絶対湿度を使わず、生活に伴う放湿量と壁面などの吸放湿量は組み込みのものとして扱うわけです。大雑把な計算ですが、私的には悪くないと思っています。

これから建てる新築住宅には適用できませんが、それなりの高気密高断熱住宅に住んでいて、温湿度計を設置し、乾燥の程度がわかっている場合には、判断材料の一つくらいにはなるかもしれません(自己責任でお願いします)。

参考 デジタル式とアナログ式の湿度計はどっちが正確?湿度計6台の校正結果

以下に計算フォームを設置するので、納得した方のみ、ほんの参考程度にご利用ください。

※上にフォームが表示されていない場合はバグです。こちらのページのクリックにてご報告いただけると助かります。

初期値はダイニチの数値を参考にしましたが、変更できます。

絶対湿度を自分で計算したい方は、こちらの絶対湿度計算ツールも併せてご利用ください。

わが家の例

この式が使えるかを確認するために、わが家の例でチェックしてみました。
室温は 23℃で、加湿器を使わないと 30% くらいになることがあり、これを 40% にしたいと思い計算すると、住宅全体の必要加湿能力は約 600 mL/h となりました。換気回数は、いろいろ考えて 0.8 としました。

わが家で使っていた気化式加湿器は、定格加湿量は 530 mL/h でしたが、これは 20℃30% のときの加湿能力であり、温湿度に依存します(気化式では特に)。なので、わが家の使用条件では 600 mL/h くらいになると考えると、計算上はちょうどよい大きさということになります。

実際の使用感としては、加湿しているとほぼ 40% を超える程度だったので概ね満足していましたが、たまに湿度 40% を切ることがあったので、もう少しだけ強力なほうがよいかなと思っていました。

10 年使っていて、タンク容量や掃除のしやすさにも不満があったため、つい先日、以下記事で紹介しているダイニチのハイブリッド式加湿器(HD-LX1220、Amazon)に買い換えました(気化式のecoモードのみで使用する予定です)。

高断熱住宅に向く加湿器の選び方

その他考慮すべきこと

加湿器が必要との前提でこの記事を書きましたが、加湿器は万人にお勧めできるものではありません。

加湿して大丈夫?

まず、加湿器が効果的に使えるのは、高気密高断熱住宅のみです。
気密性能は、RC造のマンションならともかく、戸建住宅なら、次世代省エネ基準(1999)に従って建てられた住宅以上である必要があるでしょう。

断熱性能は、少なくともペアガラスを採用していないと、加湿しても窓で結露となって除湿されるだけです。

これらの条件を満たさずに加湿すると、住宅の寿命を縮めたり、結露でカビが発生したりするリスクも生じかねません。

詳しくは、以前、次の記事に書いたと思います。

多くの住宅で加湿器を効果的に使うことができない2つの理由

電気代は大丈夫?

加湿器は、選択と使い方を誤ると、電気代が非常に多くかかる場合があります。

例えば、ダイニチの計算フォームで 100㎡のプレハブ住宅(マンション、高断熱高気密住宅に相当)の洋室に必要な加湿量を計算すると、2150 mL/h となります。

売れ筋のスチーム式加湿器の消費電力は、湯沸かし時(985W)を除いても、加湿能力 480mL/h で 410W もあります。
仮にこの加湿器を 4 台、24時間稼働させたとすると、1カ月の消費電力は 1200 kWh を超えるでしょう。電気料金を 30円/kWh とすると、加湿器だけの電気代で、ひと月 3万6千円です。

また、 4L のタンクなら、月に 3百回以上、水を足す必要があります。さすがにそんな使い方をする人はいないと思いますが、加湿器で電気代の高さに驚く人はスチーム式に限らず多いので、ご注意ください。

以下、関連記事をご覧ください。

高断熱住宅に向く加湿器の選び方
気化式加湿器は寒い… が、それで良い理由【気化熱と消費電力】
高断熱住宅で加湿器に頼らずに乾燥を防ぐ方法

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