わが家は第一種換気システムを採用しており、現在の快適性には満足していますが、将来はわかりません。電気代の高騰や給気ダクトの汚染を考えると、10年後くらいの将来には、第一種換気の維持・更新はしないかもしれません。
その場合、もっとも簡単なのは、第三種換気に切り替えることです。
第三種換気に切り替える場合の問題は、現在の住宅には自然給気口(換気レジスター)がないことです。
壁に穴を空ければ設置できます。でも、住宅自体にも隙間はあり、C値 1.0 くらいの住宅では、その隙間を合計すれば、換気レジスターの相当隙間面積の合計と同じくらいになります。そのため、給気口がなくても、排気できる換気扇を回して室内を負圧にすれば、第三種換気ができるかもしれません。
常時排気できる換気扇は、風呂、トイレ、レンジフードにすでにあります。
はたして、給気口のない住宅で第三種換気は可能なのでしょうか。
現在できる範囲でチェックしてみました。
負圧時の気流を調べる
まず確かめたかったことは、第一種換気システムを止めて窓を閉め切った状態で1Fの換気扇を回し、遠く離れた2F居室の空気が換気されるかどうかです。
住宅全体の換気に必要な風量で換気扇を回しても居室の空気が動かなければ、この計画は明らかに失敗です。
計画通りに換気されるなら、居室は外壁面の隙間(サッシの隙間など)から外気を取り込み、使用済みの空気は室内ドアのアンダーカット部分を通って出ていくはずです。そのため、このドア下の気流をチェックすることにしました。
まず、換気システムを止めると、ドア下で気流は感じられなくなりました。当然ですが。
次に、レンジフードの常時換気機能をオンにしてみました。
このレンジフードは負圧に強いシロッコファンで、常時換気モードでの風量は 170 m3/h です。
わが家の必要換気風量は 193 m3/h であり(計算はこちら)、 少し足りないので、トイレ2箇所の常時換気(34 x 2 = 68 m3/h)もオンにしました。
トイレの換気扇は圧力に弱いプロペラファンですが、実際の風量が半分だとしても(後述)、これで住宅全体での必要換気量はクリアできるはずです。
その状態でドア下をチェックしたところ、気流が感じられません。
失敗したかもと思いつつ、念のため正常に換気されている場合のアンダーカットでの風速を計算すると、0.37 m/s ほどでしかなく、ほぼ体感できない風速です。
そこで、アンダーカットの半分以上を養生テープでふさぎ、風を感じやすくしてみると、ようやく気流が感じられるようになりました。
つまり、給気口がなくても一定の換気は行われることが確認できました。
風速がわからないので換気量が十分であるとまではいえず、たぶん少し足りないくらいだとは思います。しかし、温度差換気(詳細)の性質から負圧を効かすことが難しい2Fにおいて、正しい方向に換気空気が流れていたことは悪い結果ではありません。
なお、その後、居室の換気レジスターの代わりのつもりで、窓をほんの少し開けてみて、同様の調査をしてみました。その結果は、同様に一定の気流が感じられるというもので、特に風量の変化は感じられませんでした。
プロペラファンとシロッコファンの比較
ちなみに第三種換気では、プロペラファンは圧力に弱いので、実際はカタログ上の風量が出ていないといわれます。
次の記事の中ほどに紹介されているように、「家の気密性能が高いと、室内圧(負圧)にファンのパワーが負けてしまい、換気量が通常の半分ほどになってしまう」そうです。
一方、シロッコファンは風量が安定するようです。
この点が気になったので、わが家でも、プロペラファンとシロッコファンの比較をしてみました。
上記の換気実験は主にシロッコファンによる換気でカタログ値上の風量合計は 238 m3/h でしたが、今度はレンジフードを止めて風呂とトイレの換気扇(すべてプロペラファン)をすべて「強」で回し、風量合計 201 m3/h で同じ実験を行ってみました。
その結果、強弱はわかりませんが、それなりの一定方向の換気気流を感じることができました。プロペラファンでも、第三種換気ができないわけではないようです。
とはいえ、プロペラファンが強風時に機能せず、逆流していることは、生活していると時々実感できます。台風時などに、便器の上に逆流したホコリが積もることがあるからです。
安定した換気量を確保するという点において、シロッコファンの方が優れていることに異論はありません。
なお、今回試したのはダクトレスの第三種換気ですが、同じ第三種換気でも、排気にのみダクトを使用するセントラル第三種換気のほうが、各部屋のムラを少なくできるため理想的です。もし既存のダクトを利用したりして可能であれば、ダクト式第三種換気にするというのも検討したいと思っています。
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