キッチンの換気扇(レンジフード)の風量は結構大きく、使用時は住宅全体の換気量が何倍にも増加します。わが家の場合、セントラル換気(家全体)の換気量が 250 ㎥/h であるのに対し、レンジフードは弱でも 260 ㎥/h(0 Pa)、強だと 420 ㎥/h(100 Pa)もの風量があります。
換気量が増えるということは、夏には高温多湿の外気を多く取り込み、冬には乾燥した冷気を多く取り込むことを意味します。これによる熱損失は馬鹿になりません。
単なる排気だけのレンジフードを使用し、特別な対応をしていない場合、不快な空気を家中から引っ張り込み、キッチンへと流れる強い気流が発生してしまいます。
高気密住宅の場合、レンジフード使用時に負圧が発生するため、玄関ドアが開けにくくなるという問題もあります。
これらの問題は松尾和也著『ホントは安いエコハウス』で知ったのですが、次のサイトでも同様の内容が掲載されています。
実際に意識して生活していると、レンジフードを使用するのは調理中だけでなく、炊飯中や食洗機の利用中にも使用しています。結構長い時間を運転していることになり、大きな悪影響が予想されます。
この解決策として、上記の本では、同時給排気型や室内循環式のレンジフードを採用することが提案されています。デメリットもある解決策としては、昔ながら(?)のレンジフードに連動して作動する専用の給気口を近くに設置する方法も紹介されています。
同時給排気型や給気口を設ける方法では、台所内で局所的に換気が完結するため、レンジフードの換気が家全体の換気に影響しなくなります。要は、あえてショートサーキットを起こすということです。換気でのショートサーキットとは、「給気口と排気口の位置が近いために狭い範囲で空気が循環してしまい、換気が機能しないこと」を意味します。通常は悪い意味で使われますが、キッチンではあえてそうするのがよい、ということです。
こうした設備がない場合にも、レンジフード使用時にキッチンの近くの窓を少し開ければ、同様の効果が期待できるかもしれません。風の影響を受けやすそうですが。
三井ホームのわが家はというと、特に指定しなかったのですが、専用の給気口が設置されていました。レンジフードのスイッチを入れると、やや離れた天井の給気口が連動して電動で開くようになっています。この方式のデメリットとして、本では調理者が寒いことや炎が揺れることが挙げられていますが、調理中は火を使うためか、冬も特に寒く感じたことはありませんし、ガスコンロの火の揺れが気になったことはありません。
ちなみに、同時給排気型のレンジフードにも欠点がないわけではなく、故・鵜野日出男先生とも関係があったハリマハウスでは採用を止めています。詳細は以下を参照してください。
最近では熱交換型のレンジフードや差圧式の給気口など、さまざまな方法があるようです。こういう問題があるということを意識して検討してみてはいかがでしょうか。
コメント
我が家も連動吸気口がレンジフードより少し離れた位置にあります。気密測定していただいた方にも指摘されましたが、吸気口はなるべく近い方が良いですね。
我が家の場合は、目立ちにくい位置を優先されているように思われます。
コメントありがとうございます。おっしゃるとおり、給気口が遠いと計画通りの気流にならない可能性があるため、近いほうが良いと思います。わが家のように気密性がそれほど高くない場合は特にそうでしょう。近すぎて悪い意味のショートサーキットが発生し、炊飯器や食洗機から出る湯気などが経路に入らないのも困りますが。
わが家の場合、給気口が 1.5m ほど離れているうえに空調の吹出口も隣接しているため、1m にすればよかったと少し後悔しています。ただ、今更ですし、そもそも位置を確認された記憶もありません。給気口に手を当ててみるとキチンと機能しているようなので、とりあえず良しとしています。
それより、掃除はちゃんとしないといけないですね。説明書に書かれている「2カ月に一度」もやってられるか! と 1 年放置していたらかなり汚れていて反省しました。