5,115galに耐えた三井ホームの実大耐震実験のポイント | さとるパパの住宅論

5,115galに耐えた三井ホームの実大耐震実験のポイント

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「震度7に60回耐えた家」というインパクトあるCMを流している三井ホーム。最大加速度5,115gal に耐えたという実験は、木造住宅に限らず、私が知る限り最高の強度です。詳細は三井ホームのページ(外部リンク)をご覧いただくとして、この内容はそのまま鵜呑みにしてよいものなのでしょうか。また、これはどのような意味を持つのでしょうか。

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三井ホームに聞いてみた

この実験に参加した三井ホームの方に直接話を聞く機会がありました。その方が饒舌に、誇らしげに語っていた内容は、

・他社に対抗して実証するため、建物を壊すつもりで揺らしまくった
・実験当日の温度が高く油が滑ってしまい、想定以上の加速度が出た
・いくら揺らしても壊れず、時間切れになった

といった内容でした。営業トークもあると思いますが、国立土木研究所が実験にかかわっている以上、最大加速度の数値や震度7に60回耐えたという点は事実でしょう。動画を見ると、構造体だけでなく窓サッシや家具、照明も付けた状態で実験を行っていて、窓が割れたりサッシが外れたりといった大きな損傷は見当たりません。

実験の詳細:標準仕様ではない?

詳細をよく見ると、実験は2回行われ、2階建てのプレミアムモノコック「タイプG」と、3階建てのプレミアムモノコック「タイプS」で行われていると書かれています。後者での震度7の回数は29回、最大加速度は4,176gal であり、前者よりやや緩い条件です。「タイプG」とは、Gウォール構法という三井ホームの特別仕様のことで、通常のツーバイフォー工法の耐力壁より高強度な材料を採用しています。つまり、一般的な三井ホームの仕様ではありません。

「タイプS」とは三井ホームのツーバイシックス構法のことであり、こちらが近年の三井ホームの標準仕様です(昔はツーバイフォーが標準でした)。また、3階建ては2階建てより高強度の仕様になるという側面もあります。

うがった見方をすると、この実験では一昔前の三井ホームの家の強さはわからず、一般的な2階建ての強さもわからないとも言えます。また、2階や3階の揺れが1階に比べてどれだけ大きいかという情報も公開されていません(大きな損傷がないことから軸組構法より揺れにくいのは確実だと思います)。

しかしながら、三井ホームが過去の震災で全半壊ゼロという実績を残していることも考慮すると、三井ホームの家が大きな震災に十分耐えうる強度があるというのは嘘ではないでしょう。

三井ホームの家が地震に強い理由

三井ホームの家がこれだけ強いのは、枠組壁工法(ツーバイシックス)を採用しているからなのでしょうか。三井ホームは日本のツーバイフォーを先導してきたハウスメーカーです(日本ツーバイフォー建築協会の会長はいつも三井ホームの社長です)。それなら、枠組壁工法であれば、同じくらいの強度が期待できるのでしょうか。

私見ですが、仕様に準拠した枠組壁工法であれば、震度7クラスの大きな震災にも十分耐えられる強度があると思います(5,000 gal に耐えられるかはわかりませんが…)。三井ホームの構造は、金物や屋根、壁など、一般的な枠組壁工法の構造とは少し違う面もあります。しかし基本は同じであり、他のツーバイフォー住宅も過去の震災で優れた実績を残しています。類似の工法を採用しているハウスメーカーも、2千 gal や3千 gal の耐震実験では成果を残しています。つまり、三井ホームほど坪単価が高くない家でも、枠組壁工法であれば安全・安心は買えるということです。

近年は多くのハウスメーカーが金物を使用した軸組構法の商品を発表していますが、その耐震性能は枠組壁工法には劣ると思います。軸組構法でこのレベルの耐震実験が行われたというデータは見たことがありません。反論があるのであれば、2千 gal 程度でよいので耐震実験を行い、さまざまなデータを示していただきたいものです。

 

参考 ツーバイシックス工法のまとめ

耐震性を比較する方法3:耐震実験の結果
耐震実験の結果を見るうえでの注意点を説明しています。実験結果を見ることで、実際の地震での被害程度を予測することができます。
壁倍率は高いほど良いか(住友林業のビッグフレーム構法を考える)
耐震性能として耐力壁の壁倍率の高さを宣伝しているハウスメーカーは多数あります。通常は高くて5倍ですが、住友林業のビッグフレーム構法(BF構法)では壁倍率22.4倍相当(!)と自慢しています。壁倍率は高ければ高いほど地震に強いのでしょうか。 ...

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