高断熱窓を採用できない場合でも、ハニカムスクリーンなどの付属品によって窓の総合的な断熱性能を上げることは可能です。また、断熱のない普通の外付けシャッターであっても、多少の断熱効果はあります。
これらの断熱効果は一定ではなく、併用するサッシの断熱性能によって大きく変わります。
Q 値計算上の付属品の断熱効果を計算するツール
Q 値計算上で付属品の断熱効果を評価する方法は、Dot プロジェクトの『熱損失係数(Q値)算出基準』(PDF)p.16 に書かれていました。
以下に、この式に基づいて付属品の断熱効果(熱貫流率)を計算するツールを作ってみたので、興味があれば数値をイジってみてください。計算の詳細や使用した熱抵抗値については元の PDF をご確認ください。
ここで、サッシの熱貫流率 Uw とは、窓枠とガラスを組み合わせた窓全体の熱貫流率のことです。ガラス単体の Ug 値や枠のみの Uf 値とは異なりますのでご注意ください(参考記事)。Uw 値の参考値は以前の記事の表に記載しています。
試算からわかること
上記ツールで試算してみるとわかるのは、低性能な窓ほど断熱効果が高くなるということです。元々の窓の断熱性能が高いほど付属品の効果は小さくなるわけですが、だからといって低断熱窓にお勧めできるかというと、そう単純でもありません。
ハニカムシェードなどの断熱効果については各メーカーの商品説明にも記載がありますが(一例)、熱貫流率について、良い(小さい)数値と悪い数値が併記されていることがあります。上記の計算は後者のほうですが、この違いは開閉時間を考慮しているかどうかです。良い数値は 24 時間閉め切った場合の熱貫流率であり、悪い数値は日中に全開にすることを想定した熱貫流率なのでしょう。つまり、実際は使い方によって差が出るということです。
ハニカムスクリーンの注意点とデメリット
特に注意が必要なのは、これらの数値はハニカムスクリーンを完全に閉めたときにのみ得られるということです。以前「窓の断熱シート等がお勧めできない理由」で書いたように、完全に閉じると窓の表面温度が下がり、結露が生じやすくなる問題があります(注:外付けシャッターは問題ありません)。
結露の発生条件についてはこちらに書きましたが、低性能な窓ほど、室内外で温度差があるときほど、結露はひどくなるでしょう。
ハニカムスクリーンは少し開けておくと結露が軽くなります。その場合にも輻射熱上のプラス効果はありますが、断熱効果(熱貫流率)については、完全に閉める場合と比べてかなり悪化するものと思われます。
結露が悪化するデメリットを考えると輻射熱対策もカーテンで十分だと思ったので、わが家ではハニカムスクリーンを採用していません。ハニカムスクリーンメーカー各社には、中途半端に開けたときの、(サーモグラフィーではなく)熱貫流率の実験データを公開してもらいたいものです。
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