湿度計の誤差と簡易な校正方法の紹介

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夏は高温多湿になり、冬は乾燥する日本で健康・快適な住空間を得るためには、湿度の管理が欠かせません(参考記事:「湿度管理でカビ・ダニ・ウイルスを減らす!」)。

湿度を測るには湿度計が必要ですが、これがクセ者です。高精度と言われるものでも、結構な誤差があるのです。10% くらいの誤差はよくあります。湿度計を 1 つ置いてみただけでは、乾燥気味か、過湿気味かという程度のことしかわからないのです(それで十分か?)。

ここでは、よくある湿度計の種類と、誤差を確認する方法について紹介します。

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デジタル式とアナログ式

市販されている湿度計には、主にデジタル式のものとアナログ式のものがあり、それぞれ測定原理が異なります。

デジタル式湿度計

デジタル湿度計は、電極に感湿剤を挟み込み、その電流の流れやすさの抵抗の変化から湿度を計っています。

次のような製品がありますが、その精度は、カタログによると 35~75% の範囲で±5%、それ以外は±10% とあり、なかなかの誤差があります。

アナログ式湿度計

一方、アナログ式の湿度計はバイメタル式で、収縮率の異なる感湿剤を使ってゼンマイが巻いたり戻ったりする動きによって湿度を針表示します。

その精度は、次の家庭用高精度湿度計では、相対湿度 35~75% の範囲で±2% とのことです。

一般に、誤差はアナログ式の方が小さい傾向があります。アナログ式は快適な湿度の範囲もわかりやすいため、どちらかというとアナログ式がお勧めです(見た目も)。
ただし、これは後述する軸ズレの問題がないことが確認できた場合の話です。

軸ズレの確認が面倒な場合は、デジタル式が無難でお勧めです。また、絶対湿度がわかるとさらに便利です。

参考 絶対湿度がわかる温湿度計(絶対湿度計)のメリット

湿度計の誤差

しかしながら、上記の湿度計でも、使っているとカタログ値以上の誤差があることに気が付きます。レビューを見ると、常に 10% 低く表示されるなどの問題があることが分かります(特にアナログ)。これは普及価格帯のどの湿度計にも言えることです。

私も複数の湿度計を購入して同じ場所に置いたところ、10% くらいのズレがありました。店頭に陳列されている複数の同商品の表示を比べて見ても、10% くらいズレがあります。湿度計は、数年経つと精度が落ちることもあるようです。

(追加記事)湿度計のズレ:デジタル・アナログ6台の校正結果

10% もずれていると、どれが正しいのかわかりません。カタログ値の仕様を明らかに満たしていないのであればメーカーに送り返してもいいのですが、千円や二千円の商品でそこまで求めるのも酷ですし、手間もかかります。

そこで、湿度計が正しいのかどうかを確認する簡単な校正方法を紹介したいと思います。

湿度計の校正方法

湿度計の校正は、JIS 規格(B 7920 : 2000)で定められています。

JISB7920:2000 湿度計-試験方法
この規格は,湿度計(1)の校正方法及び性能試験方法について規定する。

このうち、家庭でかんたんにできそうなのが、「5.3.5 飽和塩法」です。塩の飽和水溶液と平衡にある空気の相対湿度が温度により一定である性質を利用したものです。方法は JIS のとおりですが、ここでも簡単に紹介します。

用意するもの

用意するものは、塩化ナトリウム、蒸留水、密閉容器、そして飽和水溶液を入れる容器です。高精度を求めるなら純粋なものほど望ましいのですが、それほど高精度を求めるわけではないため、私は以下のようにしました。

・塩化ナトリウム:食卓塩(塩化ナトリウム 99%以上)
・蒸留水:浄水器を通した水道水。
・密閉容器:ジップロック。大丈夫か?
・飽和水溶液を入れる容器:ヨーグルトのフタを使いました。表面積が大きいほど良いです。

方法

  1. まず、塩の飽和水溶液をつくります。水に、溶け切らないほど過剰な量の塩を入れて混ぜるだけです。100 mL の水に対し、約 40g の食塩を入れれば十分です。
  2. 次に、密閉容器にこれと湿度計を入れ、密閉して温度が一定の空間に長時間置きます。平衡状態になるまでの時間は条件次第ですが、私は一応 1 日くらい放置しました(経験的に、測定値は4時間くらいで安定します)。温度が一定の空間というのが意外と難しく、家庭では冷蔵庫の中などがよいかもしれませんが、後述の理由により、あまり気にしなくても良さそうです。
  3. 平衡状態になったら、湿度計の測定値を読み取ります。塩化ナトリウムの飽和水溶液と平衡にある空気の相対湿度は以下のとおりなので、これとの誤差が湿度計の誤差ということになります。
温度 湿度(%)
5 75.7±0.3
10 75.7±0.3
15 75.6±0.2
20 75.5±0.2
25 75.3±0.2

この表を見ると、塩化ナトリウムの場合は温度による変化が小さいので、温度はあまり厳密でなくてもよさそうです。

たとえば、20 度で湿度計が 70% を指していたら、その湿度計は実際より約 5.5% 低く表示されているということになります。

コメント

  1. フミ より:

    いつも楽しく勉強させていただいてます
    有益な情報ありがとうございます。
    試してみます。
    測定器は校正してないと意味ないですもんね。
    校正結果のブログにリンク張らせていただいていいですか?

    • さとるパパ より:

      この飽和塩法の検定でも具体的なやり方はさまざまで、上記の方法で良いかどうかもわからないので、試されましたら是非ご報告ください。ちなみに私は 1 年ほど前に上記の方法で確認してみましたが、結果を忘れてしまい、どの湿度計が正しいかわかりません。。

  2. フミ より:

    これに近い方法でやってみた結果
    私が使用している安い湿度計では約5%とほど低い数値が示されていることがわかりました。
    簡易的な方法なので、精度がどこまでのものかわかりませんが
    湿度計は結構ずれているのかなと思っています。
    校正結果関係(2/14日にup予定)のブログにこの記事のリンクを張らせていただいてます。
    ダメなようならお知らせください。

    • さとるパパ より:

      ご報告いただき、ありがとうございます。
      校正してみても結果を信じていいのかわからないというのがセルフ校正の重大な問題です。たぶん、数%は違わない、ハズです。。
      リンクはご自由にどうぞ。

      • フミ より:

        リンクの件とお返事ありがとうございます。
        どこまで信じていいのか・・・まぁそこは難しいところですよね

        ではでは重ね重ねになりますがありがとうございました。

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