外気温が低くなり、絶対湿度の観点から見ると非常に乾燥した季節になりました。
窓を開けると外気が入り込み、湿度計の数値がみるみる下がっていきます。換気すればするほど乾燥するわけです。
そこでふと思いつきました。
冬に室内湿度の経時変化を測定すれば、室内空気がどれだけ換気されているのかを推定できるのではないか、と。
その変化をさまざまな換気方法で比べてみれば、何かわかるかもしれません。
湿度変化で換気を調べる
さっそくデータを取ってみると、以下のようなデータが得られました。
朝 9 時の時点で加湿を止めて機械換気に任せると、やはり室内の絶対湿度は外気の絶対湿度に近づいていきます。
ここから(見かけの)換気回数を計算することも、できないことはないかもしれません。
しかし、何日かデータを取ってみると、
- 部屋干しの洗濯物の影響が大きい(特に干したばかりの時間帯)
- 測定場所によって湿度に差がある(2割ほど差があることも…)
ということがわかり、厳密な計算は難しいと思うようになりました。
それでも、大雑把な比較では、多少は意味のある結果が得られたように思うので、結果のまとめだけ紹介したいと思います。
第一種換気における局所換気の影響調査
洗濯物の影響が少ない時間帯(11時~13時)のデータのみを使い、室内外の絶対湿度差がどれだけ縮まったかを計算すると、次のようになりました。
A. 第一種換気(局所換気オン)、平穏日 -21%
B. 第一種換気(局所換気オフ)、平穏日 -16%
C. 第一種換気(局所換気オフ)、強風日 -19%
局所換気とは、風呂とトイレ(x2)の換気扇のことで、三井ホームからは常時オンにすること(A)が推奨されています。
絶対湿度差が大きく縮まるほど、換気で湿度が失われていることになります。調べたのは換気による湿度損失ですが、熱損失もほぼ同様の傾向を示すものと推測されます。
AとBの比較(局所換気のオン/オフの違い)では、やはり局所換気があると熱交換換気による温湿度回収の効果は落ちることが確認できます。第一種換気を採用している工務店のなかには、局所換気を採用せず、トイレや風呂も熱交換換気システムで回収するところがありますが、省エネの観点ではそのほうが良いのでしょう。
今回は換気扇を止めただけですが、風呂はやっぱり、常時換気する必要はないと思いました。サーキュレーターで浴室はすぐ乾くし、浴室の空気は汚くないので。
数年後、換気扇を更新するときは、常時換気でないタイプに変更しようと思っています。
トイレの局所換気に関しては、トイレの空気が居室に流れるのは避けたいので、省エネでなくとも、常時換気を今後も続けようと思っています。わが家のトイレはキレイなので、別に臭ったりはしませんでしたが。
なお、この 5% の差をどう見るかですが、いろいろ計算してみると、それほど大きくはないと思いました。局所換気の影響はあるものの、パイプファンなのでカタログ値の風量(風呂で 50㎥/h、トイレで各 34 ㎥/h)は実際には出ていないものと思われます(シロッコファンとプロペラファンについて)。
BとCの比較(外の風の強さの違い)では、強風時(風速 5m/sほど)に自然換気(隙間風)の量が増えていることがわかります。これには住宅の気密性能が大きく影響しますが、気密を改善した効果が出ているのか、思ったほどは悪化していませんでした。
なお、今回のデータから「見かけの換気回数」を計算すると、0.17~0.22回/h という計算結果になりました(仮定が多いので信頼性は低い)。わが家は 0.5回/h よりも換気量が多い設定ですが、熱交換換気で 7 割ほどの湿気が回収されていると仮定すると納得できる数字です。
しかし意外なことに、熱交換換気がないにもかかわらず、室内湿度がほとんど下がらないという結果が出てしまいました。本当にそうであれば、熱交換換気が無意味どころか電気代が高いだけということになってしまいます。が、これはおそらく、室内空気が滞ってしまったせいで、測定箇所の湿度が高止まりしていたのではないかと予想しています。余裕があれば追加調査しようと思っています。
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