高断熱の2大団体「新住協」と「パッシブハウス・ジャパン」の特色と注意点

高断熱住宅について詳しい方なら、「新住協(新木造技術研究協議会)」と「パッシブハウス・ジャパン」という団体について目にしたことがあるはずです。

どちらの団体もホームページで詳しい情報が得られないのが残念ですが、高気密・高断熱の必要性や各工法のメリット・デメリットについて熟知している専門家集団です。高断熱を売りにしている住宅会社の多くがどちらかまたは両方に参加していて、日本を代表する専門家の多くはこれらの団体の関係者です(HEAT20Dotプロジェクトという団体もあります)。

このため私はどちらの意見も非常に重宝しています。以前、高断熱住宅に対応できる住宅会社のリストを作ろうとしたところ、ほとんどが上記団体に属していたため、それらを除外すると充実したリストにならなかったという経験もあります(現在も更新・募集しています)。

ハウスメーカーに限定せずに高断熱住宅を建てたい方には、是非チェックしていただきたい団体です。

ただし、これらの団体はそれぞれ発展した経緯が異なり、ちがった特色があることから、それぞれについて概要を紹介しておきたいと思います。

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新住協の特色と注意事項

一般社団法人 新住協は仙台に拠点を置く歴史ある技術開発団体です。

代表理事を務める室蘭工業大学名誉教授の鎌田紀彦先生は、寒冷地を手始めに何十年も前から高断熱住宅について実践的な技術研究に取り組んでいるため、「高断熱住宅の生みの親」とも呼ばれています。北海道ですでに高断熱住宅が普及しているのは、彼らの貢献があってのことでしょう。

そういった経緯から、中心地域は東北や北海道などの寒冷地ではありますが、温暖地でも高断熱住宅のメリットが大きいことがわかってきたため、今では全国的な広がりを見せています。

Q1.0住宅とは

新住協では「Q1.0(キューワン)住宅」というものを提唱しています。これは Q 値 1.0 以下に限らず、次世代省エネ基準の住宅より燃費が半分以下になる高断熱住宅です。

工法が決まっている

新住協で注意したいのは、工法が限定されていることです。鎌田先生が昭和の時代に発表した「新在来木造構法」が低コストで高気密高断熱住宅を実現できる画期的な方法として広く受け入れられたのは、日本の工務店のほとんどが木軸工法を中心としているからでもあります。

このため、ツーバイフォーなど他の工法を主とする住宅会社は参加していない傾向があります。

高断熱高気密住宅はツーバイシックスなどの輸入工法でも実現できるので、少数ながら、新住協に入っていない優良工務店もある、ということを考慮していただきたいと思っています。

一方、木軸工法の工務店であれば、新住協で蓄積されているノウハウは非常に重要なことばかりです。高断熱にこだわっているのに新住協に加盟していない工務店があり、新住協で推奨されているのと違う手法を採用しているとすれば、その点の是非についてしっかり確認しておきたいものです。

高断熱住宅関連の建材については長年精査してきた経験があるので、その選択や指針には重みがあります。発泡プラスチック系断熱材や外断熱工法、基礎断熱工法、空調・換気方式のメリット・デメリットについても多角的に検討されており、他の工法でも役立つことがたくさんあります。

代表理事:鎌田先生の著書『本音のエコハウス』では幅広く最新の見解を知ることができるのでお勧めです。

パッシブハウス・ジャパンの特色と注意事項

パッシブハウス・ジャパンはドイツでも建築を学んだ森みわ氏を中心として 2010 年に誕生した、比較的新しい団体です。ドイツで学んだというと輸入住宅を想像するかもしれませんが、工法を問わず、温暖地の夏を含め日本の気候に合わせた省エネ住宅をきちんと追及しています。

新住協と比べると、設計事務所の割合が多い傾向があります。

パッシブハウスとは

パッシブハウスとは、年間暖房負荷が 15 kWh/m2 以下の高断熱・高気密住宅です。

ただし真のパッシブハウスのレベルを実現するにはコストがかかることから、会員会社はパッシブハウスしか建てないわけではなく、予算に応じて柔軟に対応するものと思われます。

パッシブハウス・ジャパン会員は、住宅の省エネ性能について詳しい知識があることが期待できます。

エコ重視の姿勢

当初の理事に環境学者の飯田哲也氏が含まれていたことからわかるように、ただひたすら良い住宅を追求する新住協と比較すると、パッシブハウス・ジャパンはエコの観点を重視しています。

どちらの団体も国の基準を大幅に上回る断熱性能を良しとしていますが、パッシブハウス・ジャパンは「断熱オタク」と見られることを避けようとしていて、先進的で爽やかなイメージを打ち出すことに成功しています。代表理事:森みわ氏の書籍や、理事:松尾和也氏の書籍などでも、細かいマニアックな技術情報よりも、素人にわかりやすい説明が充実しています。

ただし、エコ重視の姿勢は、ときとして消費者の要望と微妙に合わない可能性もあります。快適で経済的な住宅と、環境にやさしい住宅は、どちらも高断熱であることが基本ですが、目的が違うと方法も変わってくることがあります。

エコには我慢が求められることもあり、環境重視も度が過ぎると敬遠したくなりますが、私の印象としては現在のパッシブハウス・ジャパンはそこら辺のバランスがよく取れているように思います。

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