建売住宅の耐震・断熱性能は注文住宅と比べて低い | さとるパパの住宅論

建売住宅の耐震・断熱性能は注文住宅と比べて低い

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これは一般的な話であり、もちろん例外もありますが、よくある建売住宅は、耐震性と断熱性能に関して、満足いくレベルにありません。

当サイト推奨の住宅性能は大手ハウスメーカーでもほとんど満たしていませんが、高級ブランド以外の建売住宅ではさらに大きな差があるのが実情です。住宅性能について情報収集されている方にとっては基本的なことばかりですが、少し詳しく紹介したいと思います。

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注文住宅と比較した建売住宅の特徴

最初に、建売住宅の特徴を考えてみます。

長期の総コストより販売価格重視

建売住宅を販売する側にとっておそらく一番重要なのは、売れる価格帯かどうかです。住宅購入予定者はだいたい予算が決まっているので、その予算内に収まるかどうかが重要です。そのため、住宅性能などは二の次となり、いかに安く建てるかに重点が置かれる傾向があります。その結果、建売住宅の性能は横並びに低い状態となっています。

注文住宅でもハウスメーカーはどんどん予算を吊り上げようとするものですが、最初は性能で比較される面も大きいため、住宅性能や長期コストにも多少は注意が払われているように感じます。

性能より見かけ重視

建売住宅の住宅性能は最低限の基準を満たしていればよいという考えがほとんどでしょう。予算の中で、いかに立派に見せるかが重視されます。

しかしこれにはメリットもあります。現物を見て購入できるので、最初から見てわかる欠陥が少ないのです。また、注文住宅では、設計時のイメージと、建ててから感じる印象が違うという問題が多かれ少なかれありますが、建売住宅にこの問題はありません。

建売住宅の耐震性能

建売住宅のほとんどは木造軸組工法です。多くの地場工務店が慣れ親しんでいる工法だからです。

木造軸組工法は工法紹介の記事で紹介しているように、工法として高い耐震性が保証されるものではありません。期待できる耐震性能は、耐力壁などの設計しだいで強くも弱くもなります。

そして、近所の建売住宅の建築現場を見ると、耐力壁として構造用合板を張るのではなく、筋交いを使っていることが多いのです。これでは高い耐震性は期待できません。

耐震性能を見るには、耐震等級を確認すれば十分でしょう。大手ハウスメーカーの注文住宅がほとんど耐震等級 3 を確保している一方、建売住宅で最高等級 3 はあまり見ません。

まれに木造枠組壁工法(ツーバイフォー)の建売住宅も見かけることがありますが、こちらは工法のルール上、安く建てても高い耐震性能が期待できます。

参考
耐震性能に関するまとめと記事紹介
ツーバイシックス工法の優れた特長とデメリット

建売住宅の断熱性能

2020 年から H25 省エネ基準が義務化されますが、それまでに販売される建売住宅のなかにはこのレベルをクリアしていないものもあるので注意が必要です。

義務化される断熱等性能等級 4 は、最低限のレベルです。これは、東京で UA 値 0.87 以下(Q 値 2.7 以下相当)のレベルです。

木造住宅であれば Low-E ペアガラスを採用していればクリアできる基準だと思われますが、光熱費のトータルコストや快適性を考えると、より高性能の窓が望ましいでしょう。

最近の建売住宅の窓にはサーモス L が使われていることがあり、これは大手ハウスメーカーと同レベルのアルミ樹脂複合サッシです。それでもお勧めできるレベルではありませんが、無理を言えない場合は妥協できるクラスだと思います。

理想はサーモス X や APW330 です。近い将来、建売住宅でも普及してくるのではないでしょうか。

参考
高気密・高断熱住宅に関するまとめ(記事紹介)
トータルコストが最小になる断熱性能とは
【高断熱ペアガラス】サーモスXと APW330 の比較

建売住宅の性能を見るチェックポイント

建売住宅を購入するとして、チェックしたいポイントを列挙してみました。

・長期優良住宅かどうか
長期優良住宅であれば、住宅性能に関して幅広くそれなりの性能が確保されていると言えます。劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、省エネルギー性などが評価されています。

・耐震等級
長期優良住宅であっても、耐震等級は 2 の可能性があります。耐震等級 3 が望ましいし、軸組工法であれば制震装置も付けたいものです。

・断熱等性能等級
前述のとおり、断熱等性能等級 4 は最低限のレベルです。

・日射管理が適切か
サンシェードなどは後から付けられますが、南面の日射対策は最初から考えられているほうが良いと思います。

軒や庇(ひさし)が十分あれば、夏に直射日光を入れず、冬に日射熱を取り込むことができるからです。十分な長さとは、窓の下端から庇までの距離の 0.3 倍くらいです。たとえば、庇から窓の下端までが 2 m であれば、庇やベランダの奥行が 60cm 以上あればよいことになります。これは、外壁などの劣化対策にもなります。

冬に日射を取り込める南面の窓面積が大きいことは良いことです。日射熱の影響は大きいため、しっかり確認したいものです。

参考 日射の管理で実現する省エネ住宅

ちなみに住宅の耐久性や維持管理費についても気になるところだと思います。これには、外壁や屋根材の種類(参考記事)、通気工法などが影響します。また、軽視されがちですが、定期的なチェックとメンテナンスも重要です。いつか別の記事で取り上げたいと思っています。

なお、注文住宅でも、ローコストで比較的高性能な住宅を建てられるハウスメーカーもあります。参考までに。

参考 【ローコスト限定】高断熱・高気密に対応するハウスメーカー等の一覧

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