建物の長期保証システムは必要か? | さとるパパの住宅論

建物の長期保証システムは必要か?

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メンテナンス費用については吟味してきたつもりでしたが、実際に自宅を建てた後はより一層気になるものです。今回は、そこで気になったハウスメーカーの長期保証システムについて説明します。

建物の構造躯体については品確法で建築主が10年間瑕疵担保責任を負うことが義務付けられていますが、これに加え、最近では多くのハウスメーカーが20年以上の超長期におよぶ保証システムを導入しています。我が家の三井ホームにも、「キープウェル」という最長30年の保証システムがあります。その実態について踏み込み、どのハウスメーカーにも共通する長期保証の問題点を見ていきたいと思います。

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保証継続には条件がある

10年以上の保証を受けるには、10年ごとに点検を受け、メーカー指定の工事により有償の補修工事を行う必要があります。それは必要だし仕方ないと思いがちですが、10年目を迎えた人の話を「教えてgoo」などで調べると実態が見えてきます。このメーカー指定の工事というのがポイントで、リフォーム業者などに依頼した場合よりもだいぶ割高(数割~倍ほど)になるようです。しかも、通常は15年後でよいような工事でも、安全を取って早めに行うことが推奨されます。

たとえば、三井ホームのモルタル吹き付け仕上げの外壁は、長持ちするので 30 年以上塗り替えなくても大丈夫と(営業担当者から)言われることもあるようですが、この保証を継続するためには、おそらく 20 年目には足場を設置して再塗装を行う必要があるでしょう。

また、仮に外壁の塗装が 15 年ごと、屋根の塗装が 10 年ごとに必要だとすると、足場に費用が掛かるからと言って 10 年目に両方行うことが推奨されるケースもあるようです。

つまり、メーカーが保証を行う裏には、メーカーが保証費用を負担する必要がないようにメンテナンス工事を徹底する必要があり、それによってハウスメーカーが儲かる仕組みになっているのです。点検は長期にわたり無料で行うメーカーも多くありますが、それは補修工事で利益が得られるからです。

10 年後にこのことに気づき、保証を延長しない家庭は多いようです。

保証の範囲は限定的

そして、保証の内容をよく見ると、実はかなり限定された内容であることがわかります。

まず、長期保証が受けられる範囲は、基礎と構造躯体、防水、防蟻のみです。基礎と構造躯体については構造強度に影響を及ぼす変形、損傷が対象になりますが、地震や津波、洪水などの自然現象(ほか多数)に起因する被害は保証の対象外となります。つまり、地震で変形しても保証はされず、外部要因が何もないのに変形した場合(欠陥工事?)にしか保証は行われないのです。

また、防水については凍害に起因するものは対象外、防蟻については近年増加しているアメリカカンザイシロアリ(乾燥材も食べる)は対象外、といったように、いくつもの免責事項が含まれています。

以上から、明らかな欠陥工事でもない限り、ハウスメーカーの長期保証によって恩恵を受けられることはないように思います。

それでは、ハウスメーカーの保証に頼らず、メーカーを通さないメンテナンスを行っていくのが良いのでしょうか。これは悩みどころです。調べた範囲で保証が受けられそうな事例は 10 数年目で漏水が発生したというケースくらいしか見つかりませんでしたが、漏水は問題です(ただし、第三者に防水工事をしてもらった場合でも、その業者から保証を受けられることもあります)。

また、ハウスメーカー独自の建材を使用しているために他の業者が同じ工事を行うことができないケースも考えられます。保証を受けるための必要最小限の工事をハウスメーカーに依頼するというのも一案でしょう。常日頃から地元の良い業者を探しておき、点検の頃に第三者としての意見を聞き、見積りをとって比較検討したり、ハウスメーカーと値下げ交渉するのがよいかもしれません。

これから家を建てる方にとって重要なことは、地震で変形することのない強い住宅を最初から建てることと、メンテナンス費用がかからない設計を採用することです。これについては別の記事で取り上げています。

メンテナンス費用については、ハウスメーカーに尋ねると、長期的にかかる費用の概算を教えてもらうことができます。ただし、これには空調などの電化製品や給湯器、ユニットバスやキッチンの交換までは含まれていないことがあるので、注意も必要です。

参考
メンテナンスフリーの住宅を目指すべきではない理由
高い耐震性を求める理由
トータルコストが最小になる断熱性能とは

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