関東以西の温暖地で、管理がラクな芝生を低コストで実現する方法を検討します。
通常、芝生といえば苗を張るものですが、ここでは、暖地型の芝生を種まきによってつくる方法に焦点を当てています。
本題に入る前に、これまで芝生を管理したことがない方は、「基本的な芝生のつくり方」の記事を先にお読みください(管理が楽な張芝の品種も紹介しています)。
>管理がラクな芝生に求められる特長
さて本題です。管理が楽な究極の芝生とは、乾燥、過湿、病害虫に強く、横に拡がって穴を防ぐ回復力が高く、成長が遅いことです。日本に自生する日本芝(高麗芝、野芝)は日本の気候環境に合っているため、これらの条件を高いレベルで満たしています。
おすすめのノシバのメリット・デメリット
なかでも上記の条件を最も満たすのは、野芝(ノシバ)です。
高麗芝より成長が遅く、芝生の高さを高く保つことができるため、芝刈の頻度を少なくすることができます。
高麗芝と異なり、種から育てることもできます。種の価格は芝生の種のなかでは比較的高い(平米当たり300円超)のですが、張芝よりは安く造成できます。
ただし野芝には欠点もあります。葉の幅が広くて硬いこと、密度が低いことです。
要はふつうの芝よりもワイルドで、繊細な美観は得意ではありません。
ただし、これらの欠点がいくらか改善された改良品種(ゼニスなど)もあります。
密度が低いと雑草がはびこりやすくなりますが、野芝などの日本芝には、芝以外の雑草を選択的に枯らす除草剤(シバゲンや MCPP 液剤など)を使うこともできます。ノシバを家の芝生として採用している人は少なく、情報が少ないことも欠点で、不安もありますが、私はこのノシバ・ゼニスを採用し、育成中です。経過はいつか追記します。
ティフ・ブレアもおすすめ
日本芝以外で管理が楽な芝生としては、センチピードグラス(品種「ティフ・ブレア」など。ムカデシバとも言う)が注目されています。
価格はノシバと同程度(平米当たり300円超) ですが、横に拡がる速度が非常に速く、他の雑草を抑制する物質を出すアレロパシーという効果があるため、雑草がほとんど生えなくなるようです。
最初はいくらか手間がかかりますが、定着すれば年1回の刈り込みで良いとのことなので、手間暇をかけたくない方には最適です。
ただし、耐陰性、 耐旱(かん)性、耐踏圧性は日本芝ほど高くなく、停滞水には弱いとのことなので、いくらか場所を選びます。
詳細 草刈りも芝刈りも嫌なのでセンチピードグラスの芝生にしてみた
西洋芝はどうか?
ちなみに、暖地型の芝の品種としては、バミューダグラス・リビエラという西洋芝が人気です。
競技場や公園に使われるほど強い品種で、種も比較的安く入手できます(平米当たり100円超)。
耐旱(かん)性や回復力が非常に強く、上記の条件の多くを満たしていますが、欠点は成長が早い(=頻繁な刈り込みが必要)ことと、耐陰性が低い(日当たりがいいところでないと育たない)ことです。肥料も多く必要とします。
葉は日本芝に似ていますが、ノシバと違って柔らかく、ほふく茎が立ち上がりやすい、枯れた後が日本芝より白色で目立つという特徴があります。オーバーシーディングのベースに向いているようです。
芝生以外の選択肢
なお、上記の芝は比較的管理がラクではありますが、それでも美観を保つにはそれなりの手間がかかります。コストはともかく、とにかく手間をかけずに美観を保ちたいという場合には、人工芝や砂利敷という選択肢もあります。
これらは DIY でも施工できますが、砂利は重いので、業者に任せるのもお勧めです(腰を痛めやすい方は特に)。
芝生用の除草剤は、これがお気に入りです。
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