全館空調の家に実際に住んでわかったこと | さとるパパの住宅論

全館空調の家に実際に住んでわかったこと

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これまで高断熱・高気密住宅についていろいろと述べてきましたが、この度、三井ホームの全館空調(スマートブリーズ・プラス2)の家に引っ越しました。どのような住み心地なのかはだいたい想像していたとおりでした。しかし実際に体験するとなると、驚くことが多々あるものです。築20年以上の鉄筋コンクリートのマンションから引っ越したわけですが、ここでは驚いたことをざっと紹介します。詳細については今後記事を追加していこうと思っています。

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音が響く

まず驚いたのが、遮音性が高く、室内の音が響くことです。頭ではわかっていたし、モデルハウスも何度も訪問していたのですが、夜まで生活してみて強く実感することになりました。

外の騒音が聞こえないというのは良いことでもありますが、外の音が聞こえない分、家の中が静かになり、小さな音でも響きます。夜は特にそうで、モデルハウスでは気にならなかった全館空調の稼働音も、近くを通るとちょっとうるさく感じます。

パソコンの稼働音やキーボードの音も、以前の倍くらいに感じます。また、玄関のチャイムが鳴って返事をしても外まで聞こえていない、子供の騒ぎ声がより一層うるさいというのは想定外でした。だんだん慣れてきましたが、遮音性が高いことは一長一短あるなと思いました。

追記:家の中で音が響くという点は、数か月経つとまったく気にならなくなりました。夜の虫や暴走族の音が多少気になるので、今では遮音性はもっと高くてもいいとも思います。外の音が聞こえないのは、窓を開けなくなったことも関係していると思います。

また、窓に直接当たる台風の雨音は気になるレベルなので、寝室にはシャッターがお勧めです(関連記事)。

湿度管理が難しい

次に想定外だったことは、湿度の管理が難しい、ということです。全館空調が除加湿を兼ねるといっても、除湿は再熱除湿機能付きのエアコンと同じ、加湿は気化式加湿器と同じ仕組みなので、湿度調整には同様の限界があります。

加湿機能付きの全館空調であっても乾燥するそうなので、加湿器を付ければいいやという程度に考えていたのですが、加湿器を付けっぱなしにしておくと、冬は朝方、結露が発生してしまいます。樹脂サッシの Low-E ペアガラスであっても、です(結露状況の詳細)。

もちろんアルミサッシのシングルガラスのときの結露よりはずっとマシで、下枠に水たまりができたままになるほどではありません。しかし、湿度が 50% を超えると、拭いておかないとマズいかな、と思う程度の大粒の結露が発生します。

一部に採用したアルミ樹脂サッシの窓(標準仕様レベル)ではもっと多く、下枠に落ちる程の結露が発生します。かといって加湿器を切ると 30% くらいの湿度になることがあり、喉が乾燥してきます(全館空調の加湿機能はオンにしています)。冬は相対湿度 40% を目指すことにしていますが、なかなかうまくいかず、高性能な加湿器が必要なのかもしれません。この点では、樹脂スペーサー仕様かトリプルガラスにすれば改善が期待できます。

追記:湿度計を追加購入したところ従来の湿度計より10%ほど高い数字を示していたため、上記の湿度は多少の誤差が含まれる可能性があります。湿度計の校正についてはこちら

なお、後で気づいたのですが、湿度を管理するためには高性能住宅であることが必須です(理由)。

加湿器については次の記事で各タイプのメリット・デメリットと注目商品を紹介しています。

高断熱住宅に向く加湿器の選び方
「高断熱住宅で加湿器に頼らずに乾燥を防ぐ方法」に書いたように、加湿器はできれば使わないほうが良いと思いますが、わが家のように「冬はどうしても乾燥してしまう」という場合には、やっぱりあると便利です。 現在使っている加湿器は気づいたら 10 年

床が暖かいというほどでもない

それから意外だったのは、床がそれほど暖かくないことでした。無垢材のフローリングなら裸足でも寒くないのではと甘く考えていましたが、裸足ではちょっと寒く感じます。靴下は必要です(子どもは裸足です)。スリッパも、冬用のモコモコしたものではなく、普通のものがちょうど良いと感じます。設定温度を高くすれば問題ないかもしれませんが、あまり高くすると動いたときにすぐに汗をかいてしまうので、21~23度くらいの設定温度に落ち着いています。床暖房は不要だとこれまでは述べてきましたが、裸足が好きな方にはやはり床暖房の方が合っているのでしょう。全館床暖房(by一条工務店)とは言わずとも。

追記:床が暖かくないと書きましたが、床暖房が付いていると勘違いする訪問者もいました。感じ方は人それぞれのようです。また、暖房を常時オンにしていると快適ですが、しばらくオフにしてから付けると足元は明らかに寒くなります。全館空調でない一般的な暖房の使い方は後者(間欠運転)なので、それと比べると大幅に快適になっているようです。

とはいえ快適

以上、ちょっとした不満を述べてきましたが、以前の住宅と比べると、住み心地は快適極まりありません。

窓際で窓が開いているのではと思うほどの冷気の流れを感じることもなければ、どうしようもなく足が冷えることもありません。室内用の冬物衣料や寝具はすべて不要になりました。夜冷え込むこともなく、カビに悩まされることもありません。喘息っぽい症状もいつの間にか消えています(追記:治るわけではなく、マシかなという程度でした)。2階で地震が発生しても、地上にいるときのような安定感があります(枠組壁工法のおかげ)。

快適さにはすぐに慣れ、感動はなくなりますが、以前の家に戻りたくないということだけは家族全員が言っています。

当サイトではこれからも、健康で快適な高断熱・高気密住宅のすばらしさを紹介していきたいと思います。

この快適さがすべて全館空調のおかげというわけではありません。断熱性能が一定以上であることによるメリットも、非常に大きなものがあります。

したがって、当サイトとしては必ずしも全館空調システムの導入を推奨するわけではありません(高価なので)。詳細については、以下のページから気になる記事をご覧ください。全館空調のお金の問題や、採用しない場合にお金をかけずに同様の快適性を実現するためのヒントが見つかるはずです。

高気密・高断熱住宅に関するまとめ(記事紹介)
全館空調に関するまとめ(記事紹介)

追記:2 年住んでわかったこと

この記事は入居後すぐに書いたものなので、長く住んでわかったことを以下に紹介します。

一番大きな変化は、冷え性が治ったことです。昔から冷え性だった家族の霜焼けが治っただけでなく、私も以前は身体が冷えて不調になっていたことに気付きました。

ほかに、湿気がたまらないので布団を干す必要性が減った、窓を開けないからかカーテンが汚れにくくなったというメリットも生じていました。

また、全館空調では夜に蚊に悩まされにくいことも判明しました。理由の詳細はこちら

あと、空調方式と冷暖房費の関係が判明しました。やはり全館空調にはお金がかかります。
全館空調の電気代(2017年1月~12月)
空調方式ごとの断熱レベル(Q 値)と暖冷房エネルギーの関係
三井ホーム・全館空調のメンテナンス費用と総費用

最近はさまざまな住宅会社が全館空調を出していますが、全館空調にはそもそもの住宅性能が重要です。
ハウスメーカーが全館空調に向いているかどうかを見極めるポイント

安価な全館空調、Z空調(ヒノキヤ)についても紹介しています。
三井ホームの新しい全館空調システムについて【エアコン1台の全館空調】(YUCACO、マッハシステムについても)
桧家住宅のZ空調について全館空調ユーザとして思うこと

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