海外を含むコロナウイルス感染症の実測データのご紹介

当サイトのいつものテーマとは逸れますが、日本のコロナ関連のニュースを見ていると、「コロナは怖い」、「政府の対応は遅れている」、「自粛がまだまだ足りない」といった印象を受け、不安が募るばかりです。
ここで、参考までに海外からのデータを一つ紹介したいと思います。

以下の図は、イギリスの経済紙『フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)』に掲載されていたグラフです。

元記事

このグラフは、コロナウイルス感染症に関して、国ごとの 1 日の死者数(7 日間の移動平均)の推移を対数グラフで表したものです(2020/4/23 時点)。

移動平均とは、バラツキの大きいデータの傾向を見るために、直近の平均をとった値のことです。

横軸は、各国の日平均の死者数が 3 名を超えてからの経過日数です。これにより、感染被害の推移の傾向を見る際に、流行開始時期が各国で異なることの影響を排除しています。死者が複数発生しているということは、市中にウイルスがそれなりに広まってきたタイミングを示します。

グラフ中の星印(☆)は、その国でロックダウン措置が行われた日を示します。

なお、このデータで感染者数ではなく死者数を見ているのは、感染者数では国ごとの検査体制(方針、検査数、精度)の影響を強く受けるため、信頼性が低いからです。死者数も医療体制の影響を受けますが、死因は正確に分析される傾向があるため、実際の被害程度をみる目的においては理にかなっていると思います。

このグラフの解釈はお任せしますが、私の解釈は主に以下のとおりです。

感染拡大の推移は国ごとに大きな差がある

日本の被害者数は、被害の大きい欧米諸国(オーストリア、ノルウェーなどを除く)と比較すると、桁が違います。この違いは、人口比のグラフで見ると、ますます顕著です。

この大きな差を決める要因はなんでしょうか。

経済力、医療レベル、高齢化割合、感染症対策の強度、人種などでは説明がつきません。WHO はなぜか否定していますが、BCG ワクチンの接種政策などが関係する免疫機構が関係しているのではないでしょうか(日本人がいまさら BCG 接種する必要はありません)。

参考

コロナにBCGは「有効」なのか?東北大・大隅教授が緊急解説
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。国によって死亡率に差があることから、BCGワクチンの接種が「有効」ではないかという仮説が広まり、一部の国で臨床研究が始まった。BCGはコロナとどう関係するのか。東北大副学長の大隅典子教授に解説してもらった。

ロックダウンに劇的な効果はない

ロックダウンをしても感染から死亡までにはタイムラグがあるため、直ちに数値に効果が表れないのは当然のことです。しかし、グラフをみると、ロックダウン措置が取られた国の多くにおいて、日数が経過しても劇的な削減効果は表れていません。中国だけが例外ですが、統計が怪しい可能性もあります。

このグラフではわかりませんが、ロックダウンを行わず、小中学校が開校しているスウェーデンの状況に注目しています。推測では、ロックダウンしない場合よりも蔓延は少し早くなり、医療機関への負荷は一時的に大きくなるでしょうが、立ち直りも早く、総合的な被害は小さいのではないかと思っています。今のところ死者数は日本よりもずっと多いですが、欧米諸国と比べると多くはなく、延命治療を行わない方針を考慮すると適切な対応のように思われます。日本には真似できないでしょうが。

参考

「封鎖せず」独自路線 自主性尊重、「集団免疫」目指す―スウェーデン・新型コロナ:時事ドットコム
【ロンドン時事】新型コロナウイルスの感染が深刻化し、多くの国がロックダウン(都市封鎖)状態にある欧州で、封鎖をしない北欧スウェーデンの「独自路線」が注目を浴びている。ソフト対策の背景には、強制より個人の自主性を尊重する伝統が根強いほか、医療制度が充実し医療崩壊の懸念が少ないことなどがある。さらに多数が自然感染して免疫を...

 

ちなみに、4/22 の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、以下のグラフが発表されています。


元資料(PDF)

これは実測データではなく、1 人の感染者が 2.5 人(再生産数)に感染させると仮定した場合のシミュレーションです。なお、日本において実測値に基づく実効再生産数の数値は変動がありますが、東京の 3 月後半で 1.7 とかであり、多くの場合ですでに 2.5 を大きく下回っています。

接触 8 割減を求める根拠となっているこのグラフには、他にもいくつもの疑問が湧いてきます。

横軸は流行開始後の日数となっていますが、ルート不明の市中感染が広がっている日本の状況はまだ流行爆発前夜だというのでしょうか。

強硬なロックダウンを行っている国で、このグラフのような経過をたどっている国は見当たりません。FT の図では強いて言えば中国くらいですが、本当にそうなるのでしょうか。ロックダウンを解除した後に再燃し、ロックダウンを繰り返すことになるおそれはないのでしょうか。

コロナウイルス以外にも対応すべき病気はいくらでもあり、経済的困難は生命にも関係する重大問題です。子供が教育を受ける機会も軽視することはできません。とはいえ、何も対処しなくていいとも思いません。医療機関の状況を踏まえながら、総合的に適切な対応がとられることを願うばかりです。

最後に、私個人としては、いろいろ疑問は感じながらも国の方針にはなるべく従っております。あまり苦ではないので。

5/1追記
日本では、新規感染者数はすでに減少傾向にあります(PCR検査数、陽性率を考慮しても)。そして、感染から報告に上がるまでのタイムラグを考えると、感染拡大のピークは4月7日に緊急事態宣言が出されるよりも前であったことがわかっています(外部参考ブログ記事)。

世間では感染者数の減少が接触8割減の効果であるかのように受け止められていますが、データはそれを示していません。緊急事態宣言前の自粛レベルで十分だったのではないでしょうか。それなら果たして、緊急事態宣言を延長する必要はあるのでしょうか。国や東京都などは、8割減の成果が大きいと考えたいバイアスがあります。日本では過剰対応したことのほうが問題だったということになると、政策の誤りを認めることになるからです。もはや期待していませんが、専門家会議には是非、科学に基づいて真相解明を行っていただきたいものです。

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