住宅の接着剤の寿命は30年? | さとるパパの住宅論

住宅の接着剤の寿命は30年?

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木造住宅では、主要な構造材に多数の接着剤が使われています。

集成材はもちろんのこと、耐力壁や屋根・床の下地材などによく使われる構造用合板やOSBにも、接着剤が使用されています。

そんな接着剤の寿命について、20~30年程度という説を見かけました。「本当?」と疑問に思ったので、ちょっと調べてみました。

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ミサワホームの接着剤の寿命について

多くの住宅に接着剤が使われていますが、ミサワホームの木質パネル接着工法やヤマダホームズのエスバイエル工法では、パネル同士の接着に接着剤を使用しています。もし本当に30年程度しか持たないのであれば、大問題です。

この問題については、ミサワホーム総合研究所が以下のページできちんと解説していました。

構造用接着剤の接着耐久性と信頼性|ニュース&トピックス|ミサワホーム総合研究所
よく耐久性という言葉を耳にします。耐久性とはあるものがいつまで使えるのか、その丈夫さを示す言葉で、一般には耐久性が高い(長持ちする)、耐久性が低い(壊れやすい)とあらわします。しかしながら「耐久性」が高いからといってなにをやっても壊れにくい...

これによると、耐久性を評価する試験では、接着剤の強度劣化は木材の劣化よりも遅く、接着耐久性は木材の耐久性よりも高いとのこと。それなら十分です。

そもそも、ミサワホームは1967年の創業時から木質パネル接着工法による住宅を提供しているため、そんな根本的な問題があればすでに問題が表面化しているはずです。

住宅の接着剤の寿命について

ミサワホームで使われている接着剤の耐久性については安心できそうですが、一般的な住宅で使われている接着剤はどうでしょうか。また、ミサワホームが自社の接着剤を悪く言うわけがないので、念のため、国立森林総合研究所の研究者の方の意見も確認してみました。

きちんと作られた集成材の寿命は50~70年以上は当然ある
CLTなど新開発の木質材料を使おうと検討している人たちが最も気にかけていることの一つが耐久性だろう。特に接着剤の寿命がどのくらいあるのか、接着性能がどこまで維持されるかは、接着剤を使った材が長期にわたって存在し続けた事例が少ないため、不明な...

ちょっと長いですが、接着剤の種類や歴史とともに詳しくわかりやすく解説されているので、きちんと確認したい方は一読をお勧めします。

この記事では、耐久性を評価する劣化試験だけでなく、実際の建物の実態調査についても触れられています。耐久性が低いために現在では使われない接着剤を使用した集成材であっても、70年以上もっているとのこと。

以下に引用する最後の文を読めば、私としてはもう十分、安心です。

現在のJAS規格で認められている接着剤を使い、基準を守って作った集成材であれば、一般的な使用環境なら50~70年は当然で、それ以上もつだろうということ。個人的には、耐久性の高い接着剤を使っていれば100年以上もつのではないかと考えている。

https://xtech.nikkei.com/kn/atcl/bldcolumn/14/698129/101400011/?P=5

わが家で使用している構造用合板は特類なので、おそらくフェノール樹脂の接着剤が使用されています。熱硬化性樹脂の接着剤であり、熱や水分に対して安定しているとのことなので、私が生きている間くらいは問題ないでしょう。

接着剤というとシックハウス症候群も気になりますが、もちろん F☆☆☆☆(フォースター)なので、ホルムアルデヒドの放散量は極わずかです。

無添加推しの住宅会社などは接着剤を悪者扱いし、接着剤の寿命や健康への影響を不安視させたりします。難癖をつけてイメージを貶めることはいくらでもできますが、改めて、それらの言説に合理的な根拠はないと思いました。

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